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いつもそばにいるのが難しいとき、外出したいとき 重度障害のあるお子さんのための訪問系・外出支援サービス

Tags: 重度障害, 訪問系サービス, 外出支援, 居宅介護, 障害児支援

はじめに:重度障害のあるお子さんとの暮らしを支えるサービスについて

障害のあるお子さんの子育ては、多くの喜びがある一方で、日々、様々な課題に直面されることと存じます。特に重度の障害がある場合、常に見守りが必要であったり、生活の多くの場面で援助が必要であったり、外出が難しかったりと、ご家族だけで全てのケアを行うのは大変な負担となることがあります。

「必要な支援があるはずだけど、どんなサービスがあるのか」「うちの子に合うサービスはどれか」「どうやったら利用できるのか」など、情報が多すぎて混乱したり、調べる時間がなかったりする親御さんもいらっしゃるかもしれません。

この記事では、重度の障害があるお子さんの日常生活や外出をサポートするために活用できる「訪問系サービス」や「外出支援サービス」に焦点を当て、その種類や利用方法について分かりやすくご説明します。これらの制度を理解し、活用することで、お子さんの生活をより豊かにし、ご家族の負担を軽減する一助となることを願っております。

訪問系・外出支援サービスとは? 全体像を知る

障害のある方が自宅で生活を送る上で、または外出する際に、ホームヘルパー(居宅介護職員)などが訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護、調理や洗濯などの生活援助、さらには外出時の支援などを行うサービスを総称して「訪問系サービス」や「外出支援サービス」と呼びます。

これらは主に障害者総合支援法に基づく「自立支援給付」のうち、「居宅介護」や「重度訪問介護」、「行動援護」、「同行援護」といったサービスとして提供されています。お子さんの障害の種類や程度、年齢などによって、利用できるサービスの種類や内容が異なります。

これらのサービスは、常に目が離せない状況にある親御さんの代わりに一時的にお子さんを見守ったり、お子さん一人での外出が難しい場合に付き添って移動をサポートしたりすることで、ご家族のレスパイト(休息)に繋がったり、お子さんの社会参加を支援したりする役割も担っています。

主な訪問系・外出支援サービスの種類と内容

重度の障害があるお子さんが利用を検討できる主なサービスは以下の通りです。

1. 居宅介護(ホームヘルプ)

2. 重度訪問介護

3. 行動援護

4. 同行援護

これらのサービスは、お子さんの障害の種類、程度、心身の状態、年齢、ご家庭の状況などを総合的に判断し、利用できるサービスの種類や時間数が決まります。複数のサービスを組み合わせて利用することも可能です。

どのサービスが利用できるか、どうやって決まる?

お子さんがどの訪問系・外出支援サービスを利用できるか、またどれくらいの時間利用できるかは、主に以下の要素によって決まります。

  1. 障害者手帳の種類や等級: 身体障害者手帳、療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳など)、精神障害者保健福祉手帳などが一つの目安になりますが、手帳がなくてもサービスを受けられる場合もあります。
  2. 障害支援区分: 障害者総合支援法に基づくサービスを利用する際には、市区町村による障害支援区分の認定が必要となる場合があります。これは、障害のある方の心身の状態を示す区分で、区分によって利用できるサービスの種類や量が異なります。(お子さんの場合は区分認定が不要なサービスもあります。)
  3. 認定調査と医師の意見書: 自治体の職員などがご家庭を訪問してお子さんの状況を詳しく聞き取り調査(認定調査)を行い、医師の意見書も踏まえて区分が判定されます。
  4. サービス等利用計画: 相談支援事業所の相談支援専門員などが作成する計画です。お子さんの意向や心身の状態、ご家族の状況などを踏まえ、どのようなサービスを、どのように利用するのが最適かを具体的に定めます。

申請・利用の流れ

訪問系・外出支援サービスを利用するための一般的な流れは以下の通りです。

ステップ1:お住まいの市区町村の福祉担当窓口または相談支援事業所に相談

まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談することをおすすめします。お子さんの状況や困りごとを伝え、利用できる可能性のあるサービスについて尋ねてみましょう。

また、「相談支援事業所」に相談することも有効です。相談支援事業所は、障害福祉サービスの利用に関する様々な相談に応じ、サービスの利用計画作成などをサポートしてくれる専門機関です。

ステップ2:サービス利用の申請

市区町村の窓口で、障害福祉サービスの利用申請を行います。この際に、障害者手帳や医師の診断書などの提出を求められることがあります。

ステップ3:障害支援区分の認定調査(必要な場合)

申請後、市区町村の職員などがご家庭を訪問し、お子さんの心身の状態や生活の状況について聞き取り調査を行います。医師の意見書の提出も必要となります。これらの情報に基づき、市区町村が障害支援区分を判定します。

ステップ4:サービス等利用計画案の作成

障害支援区分の認定結果が出たら、相談支援事業所の相談支援専門員に依頼し、お子さんのためのサービス等利用計画案を作成してもらいます。(ご自身で作成することも可能ですが、専門家に依頼するのが一般的です。)この計画案は、お子さんやご家族の希望、課題、どのようなサービスをどのくらい利用したいかなどを具体的にまとめたものです。

ステップ5:サービスの支給決定・受給者証の交付

市区町村が、作成されたサービス等利用計画案や障害支援区分などに基づき、利用を認められるサービスの種類と量(時間数など)を決定します。決定後、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。

ステップ6:事業所との契約・利用開始

受給者証がお手元に届いたら、利用したいサービスを提供している事業所(ホームヘルプ事業所など)を選び、直接契約を結びます。契約後、サービス等利用計画に沿ってサービスの利用を開始します。

サービスの利用時間や費用について

関連する制度

訪問系サービスや外出支援サービス以外にも、ご家族のレスパイトや緊急時の対応として活用できる制度に「短期入所(ショートステイ)」や「日中一時支援」があります。これらは、一時的に施設に宿泊したり、日中に活動の場を提供したりするサービスで、訪問系サービスと合わせて検討することで、より多様なニーズに対応できるようになります。

相談窓口

まとめ

重度の障害があるお子さんの子育ては、終わりなく続く日々のケアや見守りが必要で、親御さんだけですべてを抱え込むのは困難です。訪問系サービスや外出支援サービスは、そのようなご家庭の負担を軽減し、お子さんの安全な日常生活や社会参加をサポートするための重要な制度です。

居宅介護、重度訪問介護、行動援護、同行援護など、様々なサービスがありますが、お子さんの障害の種類や程度、ニーズによって適したサービスは異なります。まずは、お住まいの市区町村や相談支援事業所に相談し、どのような支援が利用できるのか、具体的な手続きについて情報収集を始めることが大切です。

一人で悩まず、これらの社会資源を上手に活用することで、ご家族皆様が安心して、より豊かな生活を送れるようになることを願っております。