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お子さんの成長段階で変わる? 児童発達支援と放課後等デイサービスの違いと選び方

Tags: 児童発達支援, 放課後等デイサービス, 障害児通所支援, 療育, 障害福祉サービス, 事業所選び

はじめに

お子さんの成長をサポートするために、様々な支援制度が用意されています。中でも「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」は、多くのお子さんが利用している身近なサービスです。しかし、「うちの子にはどちらが良いのだろう」「具体的にどんなことをするのだろう」と、情報が多くて迷ってしまうこともあるかもしれません。

この記事では、児童発達支援と放課後等デイサービスそれぞれの概要、対象となるお子さん、サービス内容、そして保護者の皆様が事業所を選ぶ際のポイントについて、分かりやすくご説明いたします。お子さんの成長段階や特性に合ったサービスを見つけるための一助となれば幸いです。

児童発達支援と放課後等デイサービスの概要

児童発達支援と放課後等デイサービスは、どちらも「障害児通所支援」と呼ばれる障害福祉サービスの一つです。障害のあるお子さんが、日常生活における基本的な動作の習得や集団生活への適応、自立に向けた支援を受けるための通いのサービスです。

これらのサービスを利用するには、お住まいの市区町村から「通所受給者証」の交付を受ける必要があります。通所受給者証の申請手続きについては、関連の記事「お子さんが障害児通所支援を利用するための第一歩 「通所受給者証」の申請・取得ガイド」をご参照ください。

児童発達支援について

対象者

主に小学校就学前(0歳から6歳までの未就学児)の、心身に障害のあるお子さんや発達に支援が必要なお子さんが対象です。

サービス内容

遊びや集団活動を通して、以下のような支援を行います。

目的・ねらい

将来、日常生活や集団生活を円滑に送れるよう、心身の発達を促し、基本的な生活習慣や社会性を身につけることを主な目的としています。早期からの療育を通じて、お子さんの可能性を広げることを目指します。

放課後等デイサービスについて

対象者

主に小学校、中学校、高等学校に就学している障害のあるお子さんが対象です。いわゆる学齢期のお子さんが放課後や夏休みなどの長期休暇に利用するサービスです。

サービス内容

学校終了後や休日、長期休暇中に利用でき、以下のような支援を行います。

目的・ねらい

学校生活と密接な連携を図りながら、自立支援や放課後の居場所づくり、経験を広げることを目的としています。個々の状況に応じた課題解決を図り、将来の社会参加に向けた準備を支援します。

児童発達支援と放課後等デイサービスの主な違い

最も大きな違いは対象となるお子さんの年齢(就学前か学齢期か)です。これにより、サービス内容や目的も異なってきます。

| 項目 | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス | | :------------------- | :------------------------------------------------ | :------------------------------------------------------ | | 対象年齢 | 主に0歳〜6歳(未就学児) | 主に小学校〜高等学校に就学しているお子さん | | 目的 | 基本的な生活習慣、社会性の習得、心身の発達促進 | 自立支援、放課後の居場所、余暇提供、社会参加に向けた支援 | | サービス利用時間 | 主に日中(午前〜午後) | 主に放課後、長期休暇中 | | 支援内容の重点 | 遊びを通じた発達支援、集団適応の基礎 | 日常生活スキル向上、余暇活動、地域交流 |

うちの子に合うのはどっち? 事業所を選ぶ際のポイント

お子さんの成長段階によって利用できるサービスは異なりますが、事業所を選ぶ際には、いくつか共通して確認しておきたいポイントがあります。

  1. お子さんの年齢と特性:
    • まずはお子さんの年齢で利用可能なサービスが決まります(未就学児なら児童発達支援、学齢期なら放課後等デイサービス)。
    • お子さんの障害特性、発達段階、得意なこと、苦手なことを踏まえ、どのような支援が必要かを整理しましょう。
  2. 利用の目的:
    • 「基本的な生活習慣を身につけさせたい」「友達との関わりを増やしたい」「放課後の安全な居場所がほしい」「将来の自立に向けて具体的なスキルを学びたい」など、利用する目的を明確にすることで、適した事業所が見つけやすくなります。
  3. サービス内容:
    • それぞれの事業所が提供するプログラムや活動内容は様々です。お子さんの興味関心や、達成したい目的に合った活動が行われているか確認しましょう。例えば、運動に特化している、学習支援に力を入れている、SSTを中心に行っている、など事業所によって特色があります。
  4. 事業所の雰囲気と支援方針:
    • 見学や体験利用を通じて、お子さんが安心して過ごせる雰囲気か、職員の方々の対応は丁寧か、支援の方針がお子さんや家庭の考えと合っているかを確認することが非常に重要です。
  5. 利用時間・送迎:
    • ご家庭のライフスタイルに合う利用時間か、送迎サービスはあるか、利用料金は予算内かなども確認が必要です。
  6. 個別支援計画:
    • 事業所はお子さん一人ひとりに合わせた「個別支援計画」を作成します。この計画がお子さんのニーズに合っているか、作成プロセスで保護者の意見が反映されるかなども確認しましょう。個別支援計画については、関連の記事「障害福祉サービス利用の「設計図」 個別支援計画とは? 作成からサービス利用までの流れ」もご参照ください。

利用までの流れ(通所受給者証取得後)

通所受給者証をお持ちの場合、サービス利用までの主な流れは以下のようになります。

  1. 事業所の選定: 上記のポイントを参考に、お子さんやご家庭のニーズに合った事業所を探します。
  2. 見学・体験利用: 気になる事業所に連絡し、見学や体験利用を申し込みます。お子さんと一緒に訪問し、様子を見ることが大切です。
  3. 契約: 利用したい事業所が決まったら、事業所と利用契約を結びます。重要事項説明をしっかり聞き、内容を理解した上で契約しましょう。
  4. 個別支援計画の作成: 事業所の担当者(児童発達支援管理責任者など)がお子さんの状況や目標を踏まえ、個別支援計画の案を作成します。保護者との面談を通じて、計画内容を確認・合意します。
  5. サービスの利用開始: 個別支援計画に基づき、サービスの利用を開始します。

※利用計画を作成するのは、事業所内に配置されている児童発達支援管理責任者のほか、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員に依頼することもできます。

費用について

児童発達支援および放課後等デイサービスの利用料は、原則として費用の1割を負担します。ただし、世帯の収入状況に応じてひと月あたりの負担上限額が定められています。

これらの負担上限額は、複数の事業所やサービスを利用した場合でも合算して適用されます。詳しくは関連の記事「障害児通所支援の利用料 仕組みと負担を軽減する制度を知ろう」もご参照ください。

良い事業所を選ぶために

相談窓口

事業所選びやサービス利用について困った際は、以下の窓口に相談できます。

まとめ

児童発達支援と放課後等デイサービスは、お子さんの成長を様々な角度からサポートしてくれる心強い味方です。対象年齢やサービス内容は異なりますが、どちらもお子さんの可能性を広げ、将来の自立や社会参加に向けた大切なステップとなります。

情報収集は大変ですが、この記事がそれぞれのサービスの違いを理解し、お子さんに合った事業所を見つけるための一歩となることを願っています。焦らず、お子さんのペースに合わせて、最適な支援を見つけていきましょう。困ったときは一人で抱え込まず、専門の相談窓口を積極的に利用してください。