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お子さんの卒業後の「これから」を考える 役立つ福祉制度と準備のポイント

Tags: 卒業後, 進路, 福祉制度, 就労, 障害者総合支援法

はじめに:お子さんの卒業後の進路、不安はありませんか?

お子さんの成長は嬉しい一方で、学校を卒業された後の進路について、どのように考え、どのような準備をすればよいのか、漠然とした不安を感じている親御さんもいらっしゃるかもしれません。特に、障害のあるお子さんの場合、利用できる社会資源や支援制度が多岐にわたり、情報収集だけでも大変だとお感じのことと思います。

この記事では、お子さんが中学や高校などを卒業された後の主な進路選択肢と、それをサポートするために利用できる代表的な福祉制度について、概要や活用方法、そして親御さんが今からできる準備のポイントを分かりやすく解説します。この情報が、お子さんの将来を考えるための一助となれば幸いです。

卒業後の主な進路選択肢を知る

お子さんの卒業後の進路は、一人ひとりの希望や適性、障害の種類や程度によって様々な選択肢があります。主なものをいくつかご紹介します。

これらの進路は一つだけを選ぶのではなく、組み合わせて利用することも可能です。

進路をサポートする主な福祉制度(障害者総合支援法)

お子さんが18歳になられると、原則として主に「障害者総合支援法」に基づくサービスが利用の中心となります(引き続き障害児支援を利用できる場合もあります)。卒業後の進路をサポートするために特に重要となるサービスには以下のようなものがあります。

これらのサービスを利用するためには、「障害福祉サービス受給者証」の申請・取得が必要です。

サービス利用の流れ(卒業後の進路に関連して)

卒業後の福祉サービス利用に向けた準備は、学校卒業の1年以上前から始めるのが一般的です。大まかな流れは以下のようになります。

  1. 情報収集・相談: お子さんの希望や適性、必要な支援についてご家族で話し合い、情報収集を始めます。学校の先生やスクールソーシャルワーカー、自治体の障害福祉担当窓口、基幹相談支援センター、相談支援事業所などに相談します。
  2. サービス等利用計画案の作成依頼: 利用したいサービスの種類や生活の目標などが固まってきたら、指定特定相談支援事業所に依頼して「サービス等利用計画案」を作成してもらいます。お子さんの意向や心身の状況、置かれている環境などを踏まえ、どのようなサービスをどのように利用するか、計画を作成します。
  3. 障害福祉サービス受給者証の申請: サービス等利用計画案を持って、市区町村の障害福祉担当窓口に障害福祉サービス(訓練等給付や介護給付など)の支給申請を行います。
  4. 聞き取り調査(認定調査)、障害支援区分の判定: 申請後、市区町村の職員などによる聞き取り調査(認定調査)が行われることがあります。サービスの必要性が高い方には「障害支援区分」の判定が行われます。
  5. 支給決定・受給者証の交付: 調査や区分判定、サービス等利用計画案の内容などを踏まえ、市区町村がサービスの支給を決定し、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
  6. サービス提供事業者との契約: 受給者証に記載されたサービスを利用できる事業所を探し、利用に関する契約を結びます。
  7. サービス利用開始・サービス等利用計画の作成: サービスの利用を開始します。契約後、サービス提供事業所の担当者も加わり、より詳細な「サービス等利用計画」が作成され、サービス内容が具体的に調整されます。

この流れの中で、相談支援専門員は、お子さんやご家族の意向を丁寧に聞き取り、様々なサービスの中から最適なものを組み合わせて計画案を作成し、サービス利用開始後も定期的に状況を確認するなど、継続的な支援を行います。

進路選択に向けた準備のポイント

相談窓口や関連情報

お子さんの卒業後の進路や利用できる福祉制度に関する相談は、以下の窓口で行うことができます。

これらの機関を上手に活用し、お子さんにとって最適な進路選択と、それを支える体制を一緒に考えていくことが大切です。

まとめ

お子さんの卒業後の進路を考えることは、親御さんにとって大きなテーマの一つです。就労、進学、福祉サービスの利用など、様々な選択肢があり、それぞれをサポートする多様な福祉制度が存在します。

情報が多すぎて戸惑うこともあるかもしれませんが、大切なのは、お子さんの気持ちに寄り添いながら、一歩ずつ情報を集め、関係機関に相談し、利用できる支援制度について理解を深めていくことです。

早めに準備を始めることで、お子さん自身もご家族も、安心して卒業後の新しい生活へと移行できる可能性が高まります。この記事が、そのための確かな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。一人で抱え込まず、利用できる支援や相談窓口を活用してください。